音の単位 デシベル(dB)|防音室に役立つ知識1

そもそも「音」とは何でしょうか?
簡単に言うと、空気の振動です。

普段の生活では特に意識しませんが、空気にも重さがあり、重さがあるということは質量があり、質量があるということは空気も振動するのです。
何かのきっかけによって、圧力が変化して空気が振動する。この空気の振動が波(音波)として伝わる現象が「音」なのです。

人に聞こえる音は、0dBから140dBほどです。
0dBは音がない状態ではなく、健聴の人が聞こえる一番小さい音を基準にしています。

ピアノの音は約100dB。
マンションなどの一室で演奏した場合の隣の部屋に聞こえてしまう音は、一般的な木造住宅では約65dB、
一般的な鉄筋コンクリート造住宅においては約50dBです。

dB(デシベル)の基準で例えると、図書館内の音が約40dB、一般的な生活会話が約60dB、電車内が約80dBです。

20dBの差は、音圧になると10倍大きくなります。

音の単位デシベル(dB

音があると空気の圧力が少しだけ変わります。
気圧計には出ないくらいほんの少しなのですが、この変化した分の圧力を音圧といいます。

圧力の単位は【Pa:パスカル】。
音圧は、人間が聞き取れる最小の音圧である20μPa(マイクロパスカル)を基準として、その何倍かで表現します。これは、1気圧(約1000ヘクトパスカル=約10万パスカル)の100億分の2という極めて小さい変化です。
ところが、20μPa(マイクロパスカル)を基準としたとき、耳をつんざくような大音量では、音圧で100万倍以上、音の強さで約10兆倍となり、表現するのに扱いにくい桁数となります。
そこで、ある音の音圧【P】と基準音圧との比の2乗の対数をとって次の式で表すようになり、これを音圧レベルといい【dB:デシベル】で表します。

音の大きさを表わすのに、
一般的に使われる量は『音圧レベル』で、
音圧の大きさ単位はデシベル(dB)』です。

会話音の音圧レベル約は60dBで、音圧だと20ミリパスカル=1気圧の1000万分の2になり、ピアノの音圧レベル100dBは音圧だと2パスカル=1気圧の10万分の2でしかありません。「音」が極めて小さな空気振動であるかがお分かり頂けるでしょう。

ある音の音圧レベルというのは、その音の音圧P1が基準音圧P0の何倍かという値の対数を取って20倍した値です。

そして、P0というのは人間が聞くことの出来る最小の音圧なのです。
また、音のエネルギーは音圧の2乗に比例しますので、

というようにも表わせます。

ここで、いくつかdBクイズです。
数式ばっかりですがまだまだ逃げないでください。実はそんなに複雑な計算ではありません。
それでも「イヤ!」という人は答だけ覚えておいても損はしませんので、目を通してみて下さいね。
それでは行ってみましょう。

Q1. 人が聞こえる最小の音の音圧レベルは何dBでしょう?

答  ①式のP1がP0と同じになるので

答えは0dBです。

Q2. 同じ音量を出している音源の個数が1個から2個になったら音圧レベルは何dB上がるでしょう?

答 

音圧レベルL〔dB〕と音圧p〔N/m²〕の関係は、
L=10log(p²/p₀²) … p₀=2×10⁻⁵ N/m²:基準
となっています。

音圧レベルが1dBの場合、
1=10log(p₁²/p₀²)
p₁²=10^(1/10)×p₀²
=10^(1/10)×4×10⁻¹⁰
=5.036×10⁻¹⁰

ここで音のエネルギーが2倍(同じ音量を出している音源の個数が1個から2個になった場合)の音圧レベルは、
L=10log(2×p₁²/p₀²)
=10log(10.072/4)
=10×0.4
=4 dB

となります。1dBの音と1dBの音を合わせると4dBになるという事です。

上記の式は次のように変形できます。
L=10log(2×p₁²/p₀²)
=10log(2)+10log(p₁²/p₀²)
=10×0.3+1
=3+1
=4 dB

※4dB(2個の場合)-1dB(1個の場合)=3dB

つまり、エネルギーが2倍になると3dB増加すると言う事です。

ついでに、音源数が10個から20個になった場合、個数は10個も増えるのですが、音圧レベルはというと1個が2個に増えた場合と同じ3dBです。

「何個増えた」ではなく「何倍に増えた」というのがdBの基本ということですね。

Q3.マイナス(0dB以下)の音圧レベルは存在するでしょうか?

答 音圧レベル0dBというのは、音圧が0なのではなくて、その音の音圧が基準のP0と同じだということです。

ですからもし音圧がP0より小さくてP0の1/10だったとすると
①式よりその音の音圧レベルは20log100.1=20×(-1)=-20dB

ということで、音として聞こえる聞こえないは別にして値としては存在します。

ところで、どうしてこんな分かりにくい単位を使うんでしょうか?それには2つ理由があります。

1つ目の理由

人の耳に音として聞こえる音圧の範囲が広すぎて、聞こえる最小の音圧をP0とすると
最大は10000000P0なんていう数字で、表示したり扱うのが大変。これをdBで表示すると

0dBから140dBとぐっとコンパクトになります

2つ目の理由

dBは人の感覚に合った単位となっているから。

音圧が1から10になった時と、
100から1000になった時、(どちらも10倍になった時)人は同じ位音が大きくなったように感じます

何倍になったか、というのは何dB上昇したかということなので、dBを使うと「こっちの方が〇〇dB高い」とか「低い」とかいうように感じ方の差を物理量の差で言い表わすことが出来るのです。

話は変わりますが、少し前のTVコマーシャルで「我が社の新製品は騒音の90%をカットすることに成功しました。」というのがありました。

これは恐らく騒音のエネルギーの90%をカットした=エネルギーが1/10になった=騒音が10dB下がった、ということだと思うのですが、10dBカットしたというよりはずっとインパクトが強くてうまい言い方ですよね。
買った人は「これで90%カットされてるの?」と思うかもしれませんが・・・

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