室内騒音と室内音響設計|防音室に役立つ知識4
室内騒音について
外部からの騒音や内部の設備騒音が、よりよい防音室空間の環境を左右します。
内部の設備騒音を示す値として、「NC値」で評価します。
NC値とは?
交通騒音など、窓や壁を透過してくる外部からの騒音や、空調機やエレベータ等、内部の設備騒音を「室内騒音」といい、より良い防音室空間の環境を左右します。
この室内騒音を表す値として「NC値」を用います。
NC(Noise Criteria)値 は、
アメリカの音響学者、L.L.Beranek(ベラネック)氏が提案し、オフィス内騒音(空調騒音などの広帯域スペクトルを持つ定常騒音を対象)の実態調査と、そこで働く職員へのアンケート調査を基にまとめられました。
室内騒音は、外部(施工場所)の事前調査を踏まえ、NC-20~30を目標に設計・施工する必要があります。
室内騒音について
室内の響きについて
防音室の響きで大切なのは『バランス』
空間における音の響きを計るための尺度を「残響時間」といいますが、
具体的には音源の振動が止まったタイミングから、音圧が60dB減退するまでの所要時間を測ったものです。
残響時間は長ければそれだけ音の響きがよく聞こえますが、音の響きで重要なのは『バランス』。
響きが強すぎると演奏の妨げになり、極端に響きが少なすぎると音楽に違和感が生じてしまいます。
吊り下げ式音響調整パネルを使うことによって、お客様のお好みの響きに調整することができ快適な音環境を作れます。
最適な残響時間を、下記の式にて求めることができます。
平均吸音率を20~30%にすることで最適な残響時間になり、室内の容積が増えれば最適残響時間が長くなります。
しかし実際のところ、最適な残響時間に合わせた設計だけでは、バランスのいい音場にはなりません。
用途や環境、音楽の種類によって適切な残響時間は異なることに加えて、吸音面と反射面の位置によっても音の聞こえや音質は異なる為、楽器の特徴やセッティング、マイクポジションを考慮したうえでの室内音響設計が求められます。
最適残響時間
幅×奥行き×高さ | 容積 | 表面積 | 最適残響時間 | |
4.5畳 | 2.7m×2.7m×2.4m | 17.5m³ | 7.29m² | 0.20~0.31sec |
6畳 | 3.6m×2.7m×2.4m | 23.3m³ | 9.72m² | 0.21~0.34sec |
8畳 | 3.6m×3.6m×2.4m | 31.1m³ | 12.96m² | 0.23~0.37sec |
10畳 | 4.5m×3.6m×2.4m | 38.9m³ | 16.2m² | 0.25~0.39sec |
20畳 | 7.2m×3.6m×2.4m | 62.2m³ | 25.92m² | 0.27~0.43sec |
音響障害の防止
快適な音空間を実現するためには、“響き”だけではなく、音質を悪くする反射音を無くすことが必要です。
フラッターエコーという言葉をご存じでしょうか。
これは、平行な天井と床の間で音が繰り返し反射して、その音が継続的に聞こえる現象のことです。
「鳴き竜」とも呼ばれ、日光東照宮の薬師堂で体感することができます。
面白い現象ですが、これが防音室で起こると、音が濁ったりリズムが乱れる原因となります。
並行する大きな反射面の対策
拡散処理(形状変形)・・・部屋の形状を変形する、拡散体を取り付ける
吸音処理・・・内装仕上げを吸音構造にする、音響調整パネルを取り付ける