防音のプロが解説!東京都内近郊での防音工事

人口が密集している東京都、都内近郊において、防音工事を検討されている方は多いかと思います。
防音工事と言っても、生活音から楽器の音、乗り物の音、近隣の音など、防ぎたい音は人それぞれ。本記事では、東京都内近郊で防音工事をする上でのポイントを、防音工事専門業者であるD.S.Pが解説します!

絶対避けたい!「騒音トラブル」

近年、一戸建て、集合住宅ともに、近隣トラブルは増加傾向にあります。一戸建ての場合、集合住宅の様に同じ建物を皆で共有して生活しているわけではありませんが、それでも東京都内近郊の住宅密集地や分譲地では、地方に比べて隣家との距離が近いケースも多いですね。
住宅における近隣トラブルで多いのは、「音」に関するもの。
人間の感覚には個人差があり、また人間の感情にも影響するものなので、だれしもが「騒音」の加害者にも被害者にもなり得ます。また同じ理由から、対策した防音の程度が全ての人に当てはまるわけではありません。
人口が密集している東京都内近郊において防音を考える場合は、目的や用途に合った適切な対策をとるようにしましょう。

環境基準から「騒音の目安」を知ろう

環境省の「騒音に係る環境基準について」は騒音の基準を測る上で目安になります。騒音に係る環境上の条件について生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準とされています。

騒音に係る環境基準について

環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりとし、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事(市の区域内の地域については、市長。)が指定する。

※この環境基準における時間の区分は、昼間を午前6時~午後10時まで、夜間を午後10時~翌日の午前6時までとしています。
※地域の類型は、AA地域は療養施設や社会福祉施設などが集合して設置される静穏が必要な地域、A及びB地域は住居用の地域、C地域は住居・商業・工業用の地域です。
※上記の基準は、車線を有する道路や幹線交通を担う道路に近接する空間の基準値にはなりません。また、航空機騒音や鉄道騒音及び建設作業騒音などには適用されません。

住居用の地域では、昼間でも55dB以上が「騒音」とされる可能性があるということですね。
55dBがどのくらいかと言うと、通所の会話やエアコンの室外機、目覚まし時計のベルくらいの音。

騒音トラブルに繋がりやすい楽器の音がどのくらいの大きさかと言うと、ピアノの場合は約90~110dB、生ドラムの場合は約100~120dB、サックスや金管楽器の場合は約110~120dB、声楽・ボーカルの場合は約90~110 dB、エレキギターをアンプやスピーカーに繋いで演奏する場合は約120dB程度です。
直接耳に届く、空気を振動させて伝わる空気伝搬音に加えて、楽器から発せられる重低音や、ペダル操作時に伝わる振動、アンプやスピーカーなどの床へ直接伝わる振動は、固体伝搬音になり、防ぎ方が変わってくるので注意が必要です。

環境基準は定められていますが、時間帯や近隣の生活環境、建物構造などによっても音の伝わり方は違います。前述のように、音の聞こえは人の感覚にも左右されるので、どの音をどの程度出したら「騒音」になるのかは、一概には言えません。
住宅が密集している住居や集合住宅において、通常の会話以上に音が出ることが想定される時は、近隣への音漏れには特に気を付けなくてはなりませんね。

音の種類とは

音はその伝わり方によって、おもに2種類に分けられます。音の種類によって防ぎ方が違うため、しっかり見極めることが重要です。

空気伝搬音と固体伝搬音

①空気伝搬音
人の話し声や楽器等の音源から放出された音が、空気中を伝わっていく音です。
空気伝搬音の音レベルは、音源から近いほど大きく、離れるほど小さくなります。またカラオケルームのドアを閉めると音が小さくなるように、ドアや塀などの遮塀物によっても減退します。

②固体伝搬音
振動源から発生した振動や衝撃が、建物の床や壁、天井等を伝わり、空気中に音として放射される音です。
建物内の騒音問題では、床衝撃音、設備機器の騒音、給排水音、扉の開閉音、エレベーター音などの固体伝搬音が多いです。固体伝搬音を防ぐには、一般的に防振材による振動緩和などが効果的ですが、空気伝搬音に比べて伝搬経路上の減退は小さく、建物の構造等によって異なります。

目的から見る、具体的な防音対策

①近隣に迷惑を掛けずに、好きな時間に楽器を演奏したい!
使用楽器や使用用途により、防音室のスペックや広さは異なりますが、基本的に、外部へ音が漏れないよう壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要です。

浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、楽器から鳴る音はもちろん、床に伝わる振動などの固体伝搬音も減衰させる防振構造となります。このように「お部屋(箱)の中にもう一つお部屋(箱)」を浮き構造で造ることを「ボックスインボックス構法」といいます。
防音室内側の遮音部分と既存の遮音部分により、総合的な遮音性能がとれるようにすることで、防音性能の高い防音室となります。

防音室の造り方

②自宅で趣味のオーディオや、映画鑑賞を楽しみたい!
上記と同じく「ボックスインボックス構法」で防音室を造ることで、安心して音を楽しむことができる環境になります。
なぜならアンプ・スピーカーやウーファーから、床へ振動が伝わるから。

③隣戸・上階からの生活音や、隣戸・下階への生活音が気になる!
生活音と一口に言っても、子どもが走り回る音からドアの開閉音、話し声など様々。
空気中を伝わる空気伝搬音である話し声やテレビの音を抑える場合は、壁面に吸音材と遮音材を組み合わせて設置することで、ある程度の音の伝搬を防ぐことができます。また音の気になる壁面に家具を置くことも効果的です。
足音やドアの開閉音といった生活音に対しては、音を発生させる側がフローリングにクッション性や厚みのある防振マット等を使用する・ドアクローザーの導入やクッション性のある隙間テープをドア枠に貼るといった対策をとり、近隣に配慮する必要があります。
しかし音に悩まされている側は、上記の対策をとっても意味がありません。
固体伝搬音は、様々な場所から躯体を通して振動が伝わってくるからです。外部から音が入らないよう、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要になります。

④外部から入ってくる音を防ぎたい!
窓を閉めていても、外から入ってくる車の走行音や近所の犬の鳴き声が気になることありますよね。
室外からの騒音の入口は大半が窓。窓の遮音性能を高めることで、室外からの騒音を抑えることができます。
しかし、車の走行音や電車の走行音といった振動を伴う固体伝搬音が原因の場合は、窓の遮音性能を高めるだけでは効果が見込めないため、注意が必要です。

⑤テレワークに適したお部屋に!
近年自宅で仕事をする方も増え、同居する家族一人ひとり、それぞれのおうち時間にスポットが当たるようになりました。
テレワークを家で行うケースでよくご相談いただくのは、“家族の話し声やテレビの音等の家庭内の生活音や、室外から入ってくる音が原因で集中できない” “WEB会議での音響が気になる” “WEB会議の声が同居している家族へのストレスになってしまう”といったもの。
テレワークが多い方の場合、より仕事に集中できる空間になるよう、一室をテレワーク可能なお部屋にリフォームすることも対策の一つ。
天井と壁に防音効果の高い材料を使用し、二重サッシ・防音ドア等を設置することで、外部からの音漏れや外部への音漏れにある程度対策することができます。

防音工事の補助金制度対象の条件とは?

住宅に防音工事をして騒音の軽減や防止に繋げたいという声は多いですが、しっかりとした防音工事は費用がかかるもの。国や自治体で実施されている住宅防音工事助成事業がありますが、基本的には近隣にある施設(航空機騒音や幹線道路、公共交通機関など)が騒音の原因になっている場合の防音工事を対象としています。

ピアノやドラムなどの楽器演奏、子どもの足音やペットの鳴き声への対策としての防音工事は、助成金支給の対象にはなりません。ただし国や自治体では、省エネ住宅取得や改修に対する支援事業を、定期的に行っています。二重サッシなどがその対象に含まれるケースもありますので、定期的に確認すると良いですね。(防音という観点からは、二重サッシでは防げる音に限界がありますので、ご注意ください)

以下、東京都内近郊で行っている防音工事助成をピックアップしてみました。それぞれに要件がありますので、助成の対象になるかどうかはそれぞれのお問い合わせ先に必ずご確認くださいね。

まとめ

人口が集中し、隣家との距離があまりないことが多い東京都内近郊において、防音工事や防音対策を検討する際のポイントがおわかりいただけましたでしょうか?
誰もが騒音トラブルの被害者にも加害者にもなり得ます。音への配慮はもちろんですが、日頃から近隣の方とコミュニケーションをとっておきたいですね。

D.S.Pコーポレーション株式会社は防音に特化した会社です。音に関するお悩み、防音工事のご相談はお気軽にしてくださいね!

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