ヘッドホンに繋いで演奏することができ、自宅でも練習しやすいというイメージのある電子ドラム。生ドラムと比較して、コンパクトにまとめられるモデルが多くあり、省スペースでのセッティングが叶います。
またオーディオ機器等を繋ぎ、楽曲に合わせて演奏することが可能なため、個人練習からDTMまで、幅広い用途で楽しむことができますね。
そんな魅力を持つ電子ドラムですが、近隣に迷惑を掛けずに自宅で演奏することは可能なのでしょうか?
電子ドラムってどんなもの?
楽器自体が響いて音が出る生ドラムとは違い、電子ドラム自体から直接ドラム音はなりません。
電子ドラムは、打面を叩いた衝撃を直接音にはせず、センサーによって強さや場所が信号に変換され、それが音のデータとなりヘッドホンやスピーカー等から音を出力させる電子楽器です。
つまり鳴るのは楽器そのものの音ではなく、電子モジュールの電子音。
ヘッドホンに繋ぐと、音をヘッドホンからのみ聞くことができ、外に聞こえるのはパッドを叩くポコポコという音や振動と、ハイハットペダルやキックペダルを踏み込む動作が生み出す振動になります。
スピーカーに繋いで音を鳴らせば、音をスピーカーから聞くことができ、他の楽器とセッションすることができます。スピーカーによりサイズや機能、出力数も様々ですが、スピーカーに繋ぐことでより音を感じることができますね。
オーディオ機器等を繋ぎ、楽曲に合わせて演奏することも可能です。
自宅練習からDTM、ライブまで、幅広い用途で演奏を楽しむことができます。
また、生ドラムと比較して、コンパクトにまとめられるモデルが多くあり、省スペースでのセッティングが叶うことも特徴の一つ。
環境に左右されずに演奏でき、持ち運びや組み立てが可能な電子楽器です。
『よくある質問』電子ドラムは”静か”だから防音は不要なのでしょうか?
自宅で生ドラムを練習するのは音の問題で厳しいという方にとって、電子ドラムは、生ドラムの様に楽器本体から音が発せられない・音量調節ができる・ヘッドホンから音を出すことができるという点から、とても魅力的ですね。
しかし電子ドラムをヘッドホンに繋げて演奏するからといって、防音対策が不要なわけではありません。
近隣へのクレームに繋がりやすいのは、電子ドラムの「打撃音」と「振動音」です。
電子ドラムのアタック音
太鼓部分であるパッドの素材やメーカーにもよりますが、パッドを叩いた時に、コツン・ポコポコという音がなります。メッシュタイプのパッドだと、より静かなシャカシャカといったような音。ハイハット等の硬いパーツを叩くと、コツンという大きめの音が出ます。
アタック音は、比較的小さい音です。
電子ドラムの振動音
太鼓部分やハイハット等をスティックで叩いた時や、足でハイハットペダルやキックペダルを踏むときに振動が生じます。
この振動は、スタンドや床から直接伝わるため、床面を通じて上下階や隣戸に伝わりやすく、近隣や家庭内への騒音に繋がりやすいのです。
電子ドラム 防音対策の基本!
音の伝わり方や防ぎ方は、マンションなどの集合住宅なのか、戸建てなのか、また建物構造(RC造・鉄骨造・木造)によっても変わってきますが、電子ドラムの防音対策は基本的に「空気伝搬音」と「固体伝搬音」の両方が必要です。
電子ドラムの空気伝搬音とは、パッドやハイハット等をスティックで叩いた時のコツン・ポコポコというアタック音のこと。音が空気を通して伝わります。
ヘッドホンに繋げずに、スピーカーやアンプから音を出す場合は、鳴る音そのものも空気伝搬音になります。音量調整にもよりますが、低音や大きな音が発せられますね。
次に、電子ドラムへの防音対策として特に注意が必要なのが、固体伝搬音。
パッド等を叩いた時や、足でハイハットペダルやキックペダルを踏むときに生じる振動が、建物内を伝搬し、伝搬先で空気中に放射される音です。
電子ドラムの騒音クレームでよくある「何かを叩いている音」は、固体伝搬音になります。
スピーカーやアンプに繋げて音を出した場合は、スピーカーやアンプの振動に加えて、バスドラムからの低音も建物内を伝わります。
固体伝搬音は、音が発せられているお部屋と直接面していないお部屋にまで伝わることがあります。なぜなら固体の密度は気体や液体よりも高いため、音を伝えやすく、距離が離れると小さくなる減衰現象が起こりにくいから。
少し難しいですが、マンションで電子ドラムをヘッドホンで演奏していたら、斜め上に住んでいる人からクレームがきた、なんていう話はよく聞きますよね。
音は床を伝わり、また壁や天井、床に入射した音が物体内に伝わり外部へ放射されます。
電子ドラムへの防音対策は床だけではなく、壁や天井にも必要になるのです。
電子ドラムの具体的な防音対策とは?
電子ドラムのアタック音や振動音は、消音性に優れているパッド、フットスイッチ式のキックペダル、電子ドラムの下に敷く防振マット等で対策することができます。
空気伝搬音や固体伝搬音に対して、手軽に対策をとれるというメリットがあるため、とりいれてみてもいいでしょう。ただし忘れてはいけないのが、上記の対策では、振動音が劇的に改善されるわけではなく、緩和される程度だということ。
そして演奏の感覚も、求めているものとは異なる可能性があります。
近隣や家庭内への騒音を気にせずに、アンプやスピーカーに繋いで電子ドラムの豊かな音を楽しむことができるストレスフリーな空間は、用途や目的に合った防音室を造ることで叶います。
電子ドラム防音室の構造
では用途や目的に合った電子ドラム防音室は、どのように造るのでしょうか?
まず防音室では、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が基本的に必要です。
浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、アンプやスピーカーから鳴る音はもちろん、アタック音、床に伝わる振動などの固体伝搬音をも減衰させる防振構造となります。
防音室内側の遮音部分と既存の遮音部分により、総合的な遮音性能を出す構造とします。
要するに、「お部屋(箱)の中にもう一つお部屋(箱)」を浮き構造で造り、これを「ボックスインボックス構法」といいます。
電子ドラム防音室のプランニング
お部屋を一室丸ごと電子ドラム防音室にする場合、現状より一回り小さい仕上がりとなります。
仕上りの広さを考慮した上で、防音室を造る目的に合ったお部屋にしなくてはなりません。
電子ドラム防音室の場合は、収納部を含めて1壁あたり約20㎝程度狭くなり、例えば元が6畳のお部屋をボックスインボックス構法で施工すると、仕上り内寸で約4畳になります。
個人での電子ドラム演奏に使用したい場合、電子ドラムのみをお部屋に設置する際は、仕上りで最低3.5畳程度(元のお部屋が5.5畳以上)ないと、音響の面を見ても使いづらいお部屋になってしまいます。
バンド練習として使用したい場合に必要な広さは、仕上りで最低5畳程度(元のお部屋が8畳以上)。使用楽器や人数を考慮してのプランニングが重要です。
ただし必要畳数はあくまで目安ですので、電子ドラム以外に使用楽器がある場合や、メーカーやサイズ、使用環境、さらには個人の感覚によっても異なります。
また、既存の天井高や構造等によっても変わりますが、電子ドラム防音室でおおよそ350~500㎜程、仕上りの天井が狭まります。
天井の高さが2,100㎜よりも下回る場合、天井が低いことにより圧迫感がかなり出てきてしまいます。その場合、居心地が良く音楽を楽しめるお部屋とは言えませんので、注意が必要です。
電子ドラム防音室を造るコンセプト(目的)や使用用途を考えた上で、しっかりとした遮音性能だけではなく、音楽をより楽しむことのできる防音室にするプランニングをしていきましょう。
自宅での電子ドラム防音室のメリット
自宅に電子ドラムの設置を検討する目的や用途は様々かと思いますが、せっかく電子ドラムを演奏するのなら、近隣や家庭内に迷惑をかけることなく存分に楽しみたいですよね。
自宅に電子ドラム防音室を造る、大きなメリットの一つは『周りからの苦情を気にすることなく、ストレスフリーな環境で音楽に打ち込むことができる』ということ。
住宅トラブルで一番多いのは「騒音問題」と言われている近年、簡易的な防音対策のまま自宅で電子ドラムを演奏し、ご近所からクレームがきたなんて話は少なくありません。
遮音がしっかりと実現された防音室で、ストレスなく電子ドラム演奏を楽しみましょう。
他にも『思い立った時に、すぐ電子ドラムに触ることができる』というメリットも大きいですよね。防音室が自宅にあることで、スタジオに行く時間や、予約の手間、セッティングをする時間等を削ることができます。
「今、練習したい!」そんな気持ちを叶えてくれますよ。
まとめ
せっかくの電子ドラム演奏・・・苦情に繋がってしまうのは悲しいですね。
電子ドラム防音室を自宅に造ることで、近隣や家庭内に迷惑をかけることのない、安心して演奏できる環境が手に入るということがわかりました!
D.S.Pでは、開放感があり光の差し込むサッシタイプの防音室から、重厚感のある防音ドアを使用した防音室まで、遮音性能に優れたオンリーワン仕様の防音室をご提案させていただきます。
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