防音工事は、求める防音レベルによって、様々なものがあります。
手軽にできる対策から、お部屋を丸ごと一室防音室にする工事まで、注意点や費用を見ていきましょう!
D.S.Pの防音室のリフォーム事例もご紹介していますので、気になる方は見てみてくださいね!
防音リフォーム工事|目的や仕様によって施工内容を決める
「防音工事」と言っても、窓を二重サッシにする、壁に遮音シートを貼るといった簡易的なものから、お部屋一室を丸ごとリフォームするものまであります。
防音対策をする上で大切なのは、コンセプト。
・自宅でピアノ演奏をしていたら隣戸からクレームが入ってしまった
・自宅にバンドメンバーを呼んでセッションできる部屋が欲しい
・音響にこだわった部屋で音漏れの心配なく自分の時間を楽しみたい
・外の音が入ってこないようにしたい
・生活空間とワークスペースを分けたい…
など目的や用途は人それぞれ。
防音対策・防音工事をしたいと思った目的から、どの程度の「防音」が必要になるのか、予算と合わせて考えてみましょう。
では、自宅で出来る防音対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
まず楽器演奏時の防音対策としては、
・楽器から出る音を吸音させるパネルや防振マットの使用
・床を防振床にリフォームする
・消音ユニット等の取り付け
・組み立て式防音室の設置
・窓を二重にする
・お部屋を丸ごと防音室にする
等があります。
子供が走り回ったり飛びはねたとき等に床へ伝わる振動や、窓から出入りする音(救急車のサイレン音等)への対策も同様で、防振マットの使用や防振床へのリフォーム、二重サッシの取り付けなどが挙げられますね。
音そのものへの対策と室内に対策するケースがありますが、近隣への音漏れを気にせずに演奏できるようになる対策なのでしょうか?
例えば、楽器演奏時の防音対策として、消音ユニット付きピアノをみてみましょう。
消音演奏中でも、上下階や左右のお部屋にコトコトという打鍵音及びペダル音が伝わってしまうことがあります。そして消音機能使用中に聞こえる音は、生の音ではなく電子音です。
組み立て式の防音室を設置しても、防音室内の広さ等の問題から、豊かな音を楽しめる快適な空間とは言い難いでしょう。
既存の窓やドアを二重にするといった対策をとった場合では、音漏れへの効果はありますが、躯体を伝わる振動といった固体伝搬音は防げません。
また、ガラスの組み合わせやサッシの質によっては、ガラスが持つ「コインシデンス効果」という性質により、特定の周波数の音が抜ける(板厚によって抜ける周波数が異なる)といった現象が生じます。
目的や用途の周波数に適したガラスを選択しなくては、遮音という面では効果が得られない可能性があります。
防音対策として忘れてはいけないのは、「本当に安心しておうち時間を満喫することのできる、ストレスフリーな空間になるのか?」ということ。
用途や目的に合った防音対策を選ばなくてはいけないということですね。
特に注意しなくてはいけないのが、自宅で楽器を演奏したい場合。
自分の中では控えめに演奏していたつもりでも、振動が伝わってしまい、クレームがきてしまったなんて話もよく聞きます。
しっかりとした遮音・防振設計と室内音響設計が計画された「防音リフォーム工事」をすることで、音漏れの心配なく、安心して音楽を楽しむことが叶う環境になるはずです。
防音リフォーム工事の費用はいくらくらい?
■窓に対策をする場合
メリットとしては、内窓が気密性・断熱性を高めることから、断熱性能効果と同時に遮音効果が期待できるということ。
ただしここで挙げられる遮音効果とは、前述の「空気伝搬音」に対してです。振動などを伴う音には大きな効果は見られませんので、注意が必要です。
リフォームで二重サッシにする際の費用は、窓の大きさやグレードにより変わりますが、一ヵ所5~7万円ほど。
ただし音が気になる所に面している窓のみに対策をすればいいかと言うと、そうではありません。
音は反射する性質を持っているため、一面だけのリフォームでは効果があまり得られない可能性があります。
そのため窓の大きさやグレードに加えて、窓数によっても費用は変わると言えるでしょう。
先述のように、ガラスには「コインシデンス効果」という性質があります。
「遮音」という面で効果を得るために、目的や用途の周波数に適したガラスを選択しなくてはならないので、防音専門業者に相談するのが間違いないですね。
手軽に取り付けできる防音カーテンも販売されているので、併せて見てみてください。
■換気口から入ってくる音を防ぐ場合
2003年の建築基準法改正により、住宅の種類を問わず24時間換気システムの設置が義務化されました。そのため法律が変わってから建てられた家には、必然的に導入されています。
24時間換気とは、機械を用いて室内の空気を室外の空気と入れ替え、新鮮できれいな状態にすることです。仕組みとしては、取り付けた給気口から外の空気を取り込み、排気口から排出するというもの。
室内の空気を、1時間に半分以上入れ替えることが基準とされています。
給排気をすることで空気の入れ替えをするため、換気口は24時間換気に必ず必要ですが、空気が入ってくる開口部なので当然音もそこから出入りします。
具体的な対策として、防音効果の高い換気機器を設置する・自身で換気口に対策を取るといった方法があります。
防音効果の高い住宅用の換気機器は、物によりますが、本体価格は大体5万円ほど。
自身で換気口に対策を取る際は、換気口から入る音を吸音させるのが効果的です。
室内側の換気口にダクト用の吸音材を詰め込む等、自宅や周辺環境に合った対策を取ることが可能です。ダクト用の吸音材は500円ほどで購入できます。
ただしこれらの対策で効果的なのは、外から入ってくる空気伝搬音に対してです。振動を伴う音には効果がないため、注意しましょう。
■床への防音対策をする場合
一度トラブルになってしまってからでは、「またご近所に音が漏れてしまっているのでは?」と不安に思いながら暮らすことになってしまいます。
違う生活スタイル・家族構成の人が、同じ建物内で生活をしているのが集合住宅です。お互いがより快適に暮らすための、床を伝わる振動への対策はどのようなものがあるのでしょうか?
床に加えられた衝撃によって、床が振動して下階に放射される音を「床衝撃音」といいます。
床衝撃音は衝撃特性の違いから、重量床衝撃音【LH】と 軽量床衝撃音【LL】の2つに分かれ、その性能を【L値】で表します。
重量床衝撃音【LH】
重量床衝撃音とは、一般的に子供が飛び跳ねたり、走り回ったりする事により発生する床衝撃音のことです。(ドスンドスン、ドタドタのような音)対策としては「床材の下に遮音材を敷く」「二重床の場合は、下地板を支える脚部分に防音材を使う」といった方法があります。
建物の構造部分に関わるため、大規模なリフォーム工事が必要になり、施工内容によってコストは変動します。
「どの程度の対策をするか」「どこまでが実現可能なのか」を専門業者と相談し、目的に合った対策を採用しましょう。
軽量床衝撃音【LL】
軽量床衝撃音とは、一般的に食器やおもちゃなど比較的硬質で軽量な物が床に落下した時や、椅子をひきずる時などに発生する床衝撃音のことです。(コツコツ、トントンのような音)既存の床材がフローリングであれば、一般的なカーペットに張り替えることである程度軽量衝撃音を防ぐことができます。
また既存の床を、防音性の高い「防音フローリング」や「防音カーペット」に張り替える方法も、軽量衝撃音対策として有効です。
費用相場は広さや物によりますが、5~25万程度です。
■お部屋を防音室として一室丸ごとリフォーム工事する場合
弊社で施工されたお客様のリフォーム事例をこの次でご紹介します。是非ご覧ください。
お部屋を防音室として一室丸ごと防音リフォーム工事!D.S.Pの施工事例をご紹介
防音リフォーム事例①戸建てにピアノ防音室
設計遮音性能:室内 D-50(開口部除く)/室外 D-55 にて設計
お部屋の広さ:約4.0畳
防音リフォーム事例②マンションにピアノ防音室
設計遮音性能:室内 D-50程度/隣室 D-60 にて設計(開口部除く)
お部屋の広さ:約8.6畳
防音リフォーム事例③戸建てにドラム防音室
設計遮音性能:室外 D-65~70dB(開口部除く)
お部屋の広さ:約12.6畳
防音リフォーム事例④戸建てにプライベートスタジオ
設計遮音性能:室内 D-65~70程度 / 室外D-70~
スタジオの広さ:約24畳
マンションでの防音リフォーム工事|大事なポイント
マンションで防音リフォーム工事をしたい場合、注意しなくてはいけないポイントは以下です。
マンションの場合は戸建て住宅とは違い、分譲だとしても個人の判断で勝手にリフォームしてはいけない部分があります。
「区分所有法」という法律に沿って作られた管理規約と使用細則というものがあり、その規約にのっとって工事をしなくてはなりません。
「専有部分」「共有部分」なんて言葉よく聞きますが、基本的にリフォームをしても良い部分にあたるのが「専有部分」、リフォームできない部分にあたるのが「共有部分」です。
具体的には、専有部分は室内などの独立した住居、共有部分はエントランスやエレベーターなどの住民が共同で利用するところですね。
窓のサッシは「共有部分」に当たりマンション全体で共有している部分に入りますので、窓のサッシを含む部分を防音リフォームしたい場合は、管理組合への申請と決議の可否が必要になります。
次に分譲マンション内の一室を丸ごと防音室にする防音リフォーム工事をしたい場合、耐荷重や仕上りの天井高などの問題が生じます。
具体的に言うと、基本的に生ドラム等を使用するスペックの高い防音室は、一般的な集合住宅には施工することができません。
ただしRC造の集合住宅で、既存のスラブ厚が大きいものや、既存の天井高が高いものは、生ドラム防音室を施工することが可能な場合もあります。
合わせてお部屋の広さにも注意が必要です。
防音室として一室丸ごと防音リフォーム工事をする場合、現状より一回り以上小さい仕上がりとなります。
例えば元が6畳のお部屋を、ボックスインボックス構法でグランドピアノが弾ける防音室に防音工事をした場合、仕上り内寸で約4畳になります。
仕上りの広さを考慮した上で、防音室を造る目的に合ったお部屋にしなくてはなりません。
ピアノの場合は仕上りで最低2~3畳程度、電子ドラムのみお部屋に設置する場合は仕上りで最低3.5畳程度、バンド練習として使用したい場合は仕上りで最低5畳程度ないと、音響の面を見ても使いづらいお部屋になってしまいます。
もちろん部屋に入る人数や楽器を考慮してのプランニングが重要です。
ただし必要畳数はあくまで目安ですので、セッティング、メーカーやサイズ、使用環境、さらには個人の感覚によっても異なります。
マンションでは生活スタイルや家族構成が違う様々な人が同じ建物で暮らしているため、「音」に対する意識は敏感でありたいところ。
防音リフォーム工事を考える場合は、工事中の騒音や資材の搬入等もあるため、近隣への配慮が大切です。事前に管理組合への申請をスムーズに行え、近隣の住民への挨拶ややり取りをしっかりとしてくれる業者を選んでくださいね。
部分的な「壁」「窓」「床」だけの簡易的な防音対策って効果あるの?
壁に遮音シートを貼る、窓に防音カーテンを取り付ける、床に防振マットを敷くといった方法は、簡易的な防音対策としてよく目にする対策ではないでしょうか?
壁に防音対策をしたい場合は、音源が発せられる部屋に遮音材と吸音材を組み合わせることが効果的と言われています。窓への対策としては、防音カーテン以外にも、先述のよう二重サッシの取り付けや隙間テープの使用などが挙げられます。床への簡易的な対策は、先述のようカーペットや防振マットの敷きこみなど。
手軽にできることが多いので、まずは試してみてもいいですね!
ただこれらの対策では防げない音もありますので、目的や用途・使用環境によって必要な防音対策を選択しなくてはなりません。
「防音対策をしたけれど、近隣に音が漏れているかも?」そんな不安を抱きながらおうち時間を過ごすのもストレスになってしまいます。
わからないことがありましたら、防音専門業者に相談してみてくださいね。きっと目的や用途に沿った対策を提案してくれるはずです。
まとめ
防音リフォーム工事と一口に言っても、簡易的な対策から大掛かりな工事まであるということがわかりましたね。
「お部屋を防音室として一室丸ごとリフォーム工事」に関してより詳しい流れが知りたい方は、
↓こちらの記事をご覧ください!