近隣を気にすることなく、時間や音量の制限がない環境で、自由に音をだすことができる防音室。
ひとつ前の記事を読んでくださった方は「防音」とはつまりどういうことなのかおわかりいただけたかと思いますが、実際に「防音室のある家」に住むための計画は、どういったことからスタートすればいいのでしょうか?
住宅にも戸建てとマンション、アパートなど様々ありますが、今回の記事では戸建て住宅にピアノ防音室を造る際のポイントを見ていきたいと思います。
戸建てと集合住宅・・・ピアノ防音室に違いはあるの?
Q:戸建てと集合住宅、どちらにもピアノ防音室を造ることはできるのでしょうか?
A:結論から言うと、戸建てと集合住宅のどちらの住宅に住んでいても、ピアノ防音室を施工することは可能です。
ただし、希望の部屋に防音室を造ることが構造上可能なのか判断する必要があります。
具体的には、防音室にかかる重さ等の問題から、木造2階以上にあるお部屋で性能のいい防音室は施工できません。
そしてピアノ防音室を造る上で重要なのは、お部屋の広さ。
防音室として一室丸ごとリフォームをする場合、現状より一回り小さい仕上がりとなります。
ピアノ演奏のための防音室であれば、
・アップライトピアノ
・グランドピアノ
のメーカーやサイズによって必要畳数は変わります。
アップライトピアノの場合は、仕上りの広さは最低約2~3畳は必要。
グランドピアノになると、最低約4畳ないと使いづらいです。
ただし必要畳数は、使用目的や使用環境、さらには個人の感覚によっても異なってきますので、注意しましょう。
また、リフォームでの防音室施工の場合は、柱の有無で解体の可否が変わってきますので、住宅の構造とお部屋の広さを加味し、防音室を使用する目的を考慮した上で、希望の部屋に防音室を造ることが可能なのか判断しなくてはなりません。
ピアノの種類によって防音室の仕様は変わる?
一口に「ピアノ」といっても、キーボード・電子ピアノ・アップライトピアノ・グランドピアノと様々ありますが、音色や鍵盤のタッチはもちろんのこと、大きさや重さ・形などそれぞれ違ってきます。
例えば一般的に、
・アップライトピアノは奥行60cm~幅150cm~重さ210~275kg
・グランドピアノは奥行150cm~幅150cm~重量255~410kgほどでメーカー・サイズによって様々です。
また音色の幅の面では、グランドピアノが圧倒的に大きいと言われていますが、ピアノが出す音エネルギーで比較した場合、例えば奥行き180㎝クラスのグランドピアノと、高さが130㎝クラスのアップライトピアノの音エネルギーは同じ程度と考えられます。
(もちろん弾き方や、弾く人、音の高低、ピアノのメーカーや国産・外国産かによっても違いがあります)
上記のような理由から、使用するピアノのメーカーや環境・条件によって、防音室内の仕様や室内の広さは変わります。
ピアノの音の大きさの基準は?ピアノ防音室をつくる目安に
ピアノの音量は、一般的な大人で約90~100dB。子どもでも約70dB~、プロのピアニストの方で110dBほどの音が出ると言われています。
90dBとは、大声による独唱ほどの騒々しさです。
ピアノの防音対策方法は・・・
ピアノの防音対策を考える際、対策はピアノ防音室を施工する他にもあります。
例えばピアノの下に敷く防音防振カーペット・ステージ、防音防振用のインシュレーター、響板を覆い音量を抑えるマスク、消音機能付きピアノ、組み立て式の防音室の設置など・・・
しかし消音機能付きピアノで消音演奏中でも、上下階や左右のお部屋にコトコトという打鍵音が伝わってしまうこともあります。
また組み立て式の防音室を設置しても、防音室内の広さ等の問題から、ピアノ本来の豊かな音響を楽しむことができません。消音グッズも然りですね。
既存の窓や床や壁、天井それぞれに防音対策を施すことも可能ですが、それらを施す上で忘れてはいけないのは「防音室ではない」ということ。
やはり防音性能が高い防音室を造ることで、用途や目的に合った音環境を整えることが叶います。
組み立て式防音室
防振ステージ
ピアノ用インシュレーター
ピアノの防音対策での注意点
近隣や家庭内への防音対策を考えるときに、まず押さえておきたのが「音には伝わり方によって2つの種類がある」ということです。
ひとつは「空気伝搬音」
ピアノでいえば、鳴らした音が空気を通して伝わっていきます。室内で聞こえることはもちろん、窓やドアの隙間からも漏れていき、窓や壁を通し外部へ音を伝えます。
屋根や蓋の開閉で音の響き方や方向は変わりますが、アップライトピアノの場合は背面から音が出るため背面に、グランドピアノの場合は上下・横に響きやすくなっています。
もうひとつは「固体伝搬音」
これは振動が、壁や床、天井などの建材を通して伝わる音のこと。ピアノは楽器本体が床に触れているため、固体伝搬音も発する楽器なのです。打鍵音やペダルを踏む時の振動も、床を通して外部へ伝わっていきます。
つまりピアノの防音対策は、「空気伝搬音」「固体伝搬音」の双方について対策が必要ということです。
近隣はもちろんのこと、家庭内でピアノの音が騒音となってしまわないようにしなくてはなりません。
戸建てピアノ防音室計画は何から始めたらいいの?
さて、ピアノの防音対策の重要性はご理解して頂けたかと思いますが、戸建てにピアノ防音室を計画する際はなにからスタートしたらいいのでしょうか?
防音対策にはコンセプト(目的)が重要です。遮音をしっかりと実現して、快適な空間を手に入れたい方のための工事と、簡易的にと思って造るお部屋とは全く違います。
防音工事は失敗することはできません!
設計・施工の精鋭と音のスペシャリストである防音専門の会社に相談してみましょう。
(1)まずはお気軽にお問合せください。
(2)お問合せいただきました内容をもとに、ヒアリング。
具体的には、ご要望や近隣の状況などをお伺いし、お客様が求めているイメージに寄り添い、お客様に最も適した防音アイデアをお話させていただきます。
(3) 防音室をご検討されている物件の間取り図(平面図)をお送りください。
(4) 次は現地調査。
可能であれば現地をご訪問させていただき、現在の状況確認や寸法を測り、防音室施工にあたってのポイントを調査します。
(5) ヒアリング及び調査の結果を総合的に判断した上でお客様とのイメージが共通のものとなるようにプランを作成していきます。
プランニングに基づき、防音室の計画図とイメージパース(完成イメージCG)を作成します。
(6)最後はお見積りの提出。
遮音性能や仕様等のご説明をさせていただきます。ご予算に応じてプランを変更することも可能です。防音対策はもちろん、お客様のご要望に応じた魅力ある空間設計をご提案いたします。
ピアノ防音室を戸建てに造りたい!
ご趣味でピアノを弾かれている方、ピアノ教室をご自宅で開きたい方、お子様にピアノ練習を思う存分させてあげたい方、これからピアノを弾いてみたい方・・・
ピアノの防音対策を考える理由は様々あるかと思いますが、せっかくなら生の音で、音漏れや時間を気にせずに、最適な音空間の中でピアノを弾くことができたらもっと音楽が身近になるのではないでしょうか?
サッシタイプの防音室にすることで、開放感があり、生活する空間と音楽をする空間を分断させずに、別室との一体感も造ることも可能です。
まとめ
ということで、戸建てにピアノ防音室を造る際のポイントや、計画の流れがわかりました!
実は防音室のある住宅は、住宅資産としてプラスの価値にもなります。「ピアノ防音室のある戸建ての家」にご興味のある方、ぜひお気軽にお問合せくださいね。