防音工事、防音室を施工してくれる業者は、今やネットで探すとたくさん出てきますね。
内装リフォーム業者から防音工事専門業者まで様々な会社がありますが、かかるコストもピンキリで、どこに頼めばいいかわからない、、、そんな方も多いと思います。
本記事では、防音工事で失敗することがないよう、防音工事業者を選ぶ際の注意点について解説していきたいと思います。
ネットで目にする「完全防音」。可能なの?
ネット上で「完全防音」なんていう言葉を見ることがありますが、結論として、『一般住宅において100%音が漏れない防音は不可能』と言えます。
防音の法則として「質量則」というものがあります。
質量則の法則とは、材料の面密度(1㎡当たりの質量)が大きいほど、 音響透過損失(遮音性能)が大きくなるというもの。簡単に言うと、質量が大きければ大きいほど、音をはね返す力は強くなるということです。
質量則から建物内での防音について考えると、壁や床を厚くしたり建材を重たいものにすればするほど遮音性能は大きくなるということですが、それは理屈での話。
実現するには防音層を何重にも造ることになるため、建物自体がその重量に耐えられなくなってしまうのです。
よって一般住宅においての「完全防音」は現実的に不可能ということになります。
ちなみに防音の最先端であるNHKスタジオは、80dB前後の遮音性能。100%ではありませんが、人間の耳では聴こえない程の範囲に抑えられています。
建築基準法上、換気などの空気循環が無い建物はありえませんので音は漏れます。
人間の感覚には個人差があり、感情にも影響を受けるもの。音を人間の耳で聞こえにくくする「防音」に、「完全」はありえないという事ですね。
「防音対策」目的はなに?
楽器を演奏したいが隣戸に迷惑をかけたくない、同居家族に迷惑をかけることなく好きな時間に映画鑑賞を楽しみたい、下階への足音が気になる・・・
防音対策を考えるにあたって、その理由は様々あるかと思いますが、まず大切なのは、防音室施工・防音対策をしようと考えた目的(コンセプト)を明確にすることです。
防ぎたい音がどのような音なのか見極めましょう。
■音の種類
音はその伝わり方によって、おもに2種類に分けられます。音の種類によって防ぎ方が違うため、しっかり見極めることが重要です。
①空気伝搬音
人の話し声や楽器等の音源から放出された音が、空気中を伝わっていく音です。
空気伝搬音の音レベルは、音源から近いほど大きく、離れるほど小さくなります。またカラオケルームのドアを閉めると音が小さくなるように、ドアや塀などの遮塀物によっても減退します。
②固体伝搬音
振動源から発生した振動や衝撃が、建物の床や壁、天井等を伝わり、空気中に音として放射される音です。
建物内の騒音問題では、床衝撃音、設備機器の騒音、給排水音、扉の開閉音、エレベーター音などの固体伝搬音が多いです。固体伝搬音を防ぐには、一般的に防振材による振動緩和などが効果的ですが、空気伝搬音に比べて伝搬経路上の減退は小さく、建物の構造等によって異なります。
具体的な防音対策は?
①近隣に迷惑を掛けずに、好きな時間に楽器を演奏したい!
使用楽器や使用用途により、防音室のスペックや広さは異なりますが、基本的に、外部へ音が漏れないよう壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要です。
浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、楽器から鳴る音はもちろん、床に伝わる振動などの固体伝搬音も減衰させる防振構造となります。
このように「お部屋(箱)の中にもう一つお部屋(箱)」を浮き構造で造ることを「ボックスインボックス構法」といいます。
防音室内側の遮音部分と既存の遮音部分により、総合的な遮音性能がとれるようにすることで、防音性能の高い防音室となります。
②自宅で趣味のオーディオや、映画鑑賞を楽しみたい!
上記と同じく「ボックスインボックス構法」で防音室を造ることで、安心して音を楽しむことができる環境になります。
なぜならアンプ・スピーカーやウーファーから、床へ振動が伝わるから。
③隣戸・上階からの生活音や、隣戸・下階への生活音が気になる!
生活音と一口に言っても、子どもが走り回る音からドアの開閉音、話し声など様々。
空気中を伝わる空気伝搬音である話し声やテレビの音を抑える場合は、壁面に吸音材と遮音材を組み合わせて設置することで、ある程度の音の伝搬を防ぐことができます。また音の気になる壁面に家具を置くことも効果的です。
足音やドアの開閉音といった生活音に対しては、音を発生させる側がフローリングにクッション性や厚みのある防振マット等を使用する・ドアクローザーの導入やクッション性のある隙間テープをドア枠に貼るといった対策をとり、近隣に配慮する必要があります。
しかし音に悩まされている側は、上記の対策をとっても意味がありません。
固体伝搬音は、様々な場所から躯体を通して振動が伝わってくるからです。外部から音が入らないよう、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が必要になります。
④外部から入ってくる音を防ぎたい!
窓を閉めていても、外から入ってくる車の走行音や近所の犬の鳴き声が気になることありますよね。
室外からの騒音の入口は大半が窓。窓の遮音性能を高めることで、室外からの騒音を抑えることができます。
しかし、車の走行音や電車の走行音といった振動を伴う固体伝搬音が原因の場合は、窓の遮音性能を高めるだけでは効果が見込めないため、注意が必要です。
⑤テレワークに適したお部屋に!
近年自宅で仕事をする方も増え、同居する家族一人ひとり、それぞれのおうち時間にスポットが当たるようになりました。
テレワークを家で行うケースでよくご相談いただくのは、“家族の話し声やテレビの音等の家庭内の生活音や、室外から入ってくる音が原因で集中できない” “WEB会議での音響が気になる” “WEB会議の声が同居している家族へのストレスになってしまう”といったもの。
テレワークが多い方の場合、より仕事に集中できる空間になるよう、一室をテレワーク可能なお部屋にリフォームすることも対策の一つ。
天井と壁に防音効果の高い材料を使用し、二重サッシ・防音ドア等を設置することで、外部からの音漏れや外部への音漏れにある程度対策することができます。
防音室施工・防音対策をしようと考えた目的(コンセプト)によって、必要な遮音性能や仕様は異なります。
一人ひとり目的や用途が違い、さらに建物構造や周辺環境まで様々。知識や経験がしっかりとあり、お客様が求めている使い方をきちんとヒアリングしてくれる業者さんに相談して下さいね。
業者選びの最終的な判断は?
防音室施工、防音工事を検討する際は、業者に全てお任せにすることなく、ご希望や提案に対する疑問等も含め、詳細にお打合せをする事が成功に繋がります。また、音や防音に関する知識を自分自身が少し持っているだけでも、納得のいく防音工事をする近道になりますよ。
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防音工事は、内装工事のような装飾的な部分だけではなく、目に見えないところにコストがかかります。
防音工事専門業者は数多く存在しますが、それぞれの会社によって費用が違うのには理由があります。なぜなら防音工事の施工方法は各業者独自のものであり、材料から工程、管理方法、防音性能の表記、そして測定方法まで異なるから。
求める防音室の目的をしっかり把握した上で、今現在の事だけでは無く、将来的なビジョンにもマッチした提案をしてくれる施工業者さんを選んでくださいね。
まとめ
「防音工事は目に見えないところにコストがかかる」
だからこそD.S.Pがなにより大切だと考えるのは、「お客様と目線を合わせた防音室をご提案すること」です。
目的や用途、使用環境によっても費用は大幅に変わります。楽器や音源によって必要な遮音性能や防ぐべき音は異なり、既存の建物構造からお部屋の広さ、解体工事の有無、新築の場合は建物本体工事と同時施工が可能なのかによっても変わってくるからです。
D.S.Pでは、ラインナップ「ベーシック」「スタンダード」「ハイクオリティ」「プレミアム」「プロフェッショナル」をベースに、お客様のご要望に沿った防音設計をプランニングいたします。
専属スタッフが丁寧にヒアリングをさせていただき、お部屋のデザインや使い勝手までを考慮に入れた完全オーダーメイドの防音室をご提案させていただきますので、お気軽にご相談くださいね。