防音室を2階に造りたい!注意点とポイント

自宅に防音室の施工を検討する上で、間取り等の問題から2階に施工したい、マンションに施工したいという方は少なくありません。
本記事では、2階以上のお部屋での防音室施工を検討されている方に向けた、注意点とポイントを解説します。

憧れの防音室!計画の進め方

D.S.Pコーポレーション施工のピアノ防音室

・ピアノ教室を自宅で開きたい
・生ドラムまで演奏できる防音室が欲しい
・新築のタイミングで、防音室のあるお家を建てたい

防音室を検討される理由は様々あるかと思いますが、まずは「目的や用途」を明確にしましょう。
例えば「グランドピアノと電子ピアノを置けるピアノ教室にしたい」「基本は生ドラム演奏ができるお部屋で、たまにバンドメンバーで集まってセッションできる防音室にしたい」といったものです。
実際に防音室を造った人の施工例を見て、イメージを具体的にしていくのも良いですね。防音室を造る目的や用途がある程度イメージできたら、次は防音室を住宅のどこに造りたいかを考え、希望の部屋に造ることが可能なのか判断する必要があります。
生ドラムといったスペックの高い防音室施工の場合は、耐荷重仕上りの天井高などの問題から、一般的なマンションなどの集合住宅・木造の戸建て住宅2階以上には、基本的に施工することができません。

住宅における耐荷重について、詳しく見ていきましょう。

住宅における建物の耐荷重とは?

建築基準法で基準が定められている「長期荷重」
長期荷重とは、建物の中で常に荷重としてかかっているものを指します。具体的には、壁や柱といった建物自体の重量(自重)や、フローリングや天井材などの仕上げ材の重量、家具や内部にいる人間などです。
簡単に言うと、通常時の状態で建物に常にかかっている重さのことですね。

建築基準法において、住宅用途の長期積載荷重の最低基準は、180kg/㎡と定められています。180kg/㎡を絶対に超えてはならないというわけではなく、少なくとも㎡あたり約180kgに耐えられるように設計と施工を行いなさいという決まりです。

防音室の荷重はどのくらい?

D.S.Pコーポレーション施工のドラムスタジオ

防音室としてお部屋を丸ごと防音リフォーム工事する場合、この「荷重」が重要になります。
遮音性能がしっかりとある防音室を造るには、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が基本的に必要です。浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、楽器から鳴る音はもちろん、振動も減衰させる防振構造となります。
要するに、「お部屋(箱)の中にもう一つお部屋(箱)」浮き構造で造ります。(ルームインルーム、ボックスインボックスなどと言います)

これがどれくらいの重さになるのかと言うと、例えば6帖(10㎡)のお部屋にD-50程度の遮音性能をもつ防音室を造った場合の防音室としての重量は、約4t弱。D-55程度で約5t弱になります。そこに楽器の重さや家具・人間の重さが加わります。
生ドラム防音室を造った場合の重量は、防音室の資材や、ドラムセット、人間の重さなどを含めるとおおよそ15t。

遮音性能を高めるとそれだけ使用する資材も増えるため、一般的なマンションなどの集合住宅・木造の戸建て住宅2階以上には、スペックの高い防音室は基本的に施工することが厳しいのです。

木造戸建て住宅の場合、2階の段階で掛けられる耐荷重に限りがあり、地盤改良をする等、本体建物計画時に耐荷重を考慮した構造設計が必要になります。予算と合わせての計画をしなくてはなりませんね。
RC造の集合住宅の場合、既存のスラブ厚が大きいものや、既存の天井高が高いものは、生ドラム防音室を施工することが可能なケースもあります。

防音工事業者・本体建物施工業者・集合住宅の管理組合などに確認してみるのが間違いないですね。

注文住宅に防音室を造りたい場合

本体建物設計の段階から防音工事業者に相談することで、建築確認申請時の仕様(防音室を居室で申請するか納戸で申請するか)や工事仕様・施工区分等などを、ハウスメーカーや工務店と協議の上で防音室部分のプランニングをすることが可能になります

防音室を施工する目的や用途によって、お部屋の寸法は変わるため、それを前提としてお部屋の広さや間取り、天井高をある程度決めることができますね。

本体建物施工業者によりますが、同時施工ができれば、解体工事費用や内部養生費等のコストダウンに繋がることもあり、また建物の竣工引き渡し時に合わせて防音室の工事も完了することができるため、時間的なロスが減るというメリットもあります。
ただし保証等の面から、本体建物施工業者が他社の同時施工を認めないというケースもあるため、業者選びの際は確認が必要です。

仮に同時施工ができなくとも、住宅の設計段階から本体建物施工業者と防音工事業者が事前打合せできることで、効率の良い防音室の設計施工が可能になります。
例えば木造戸建ての場合、梁補強工事が大きなポイントです。
防音工事は通常の内装工事と比べ、多く資材を使用するので、耐荷重を考慮する必要があり、そのため梁にかかる荷重を分散するために、通常の住宅よりも梁を増やして施工しなければなりません。
本体建物施工業者に梁補強をしておいてもらうことが可能な場合、全体的な工事予算の抑制に繋がります。
また、工事区分を事前に本体建物施工業者側、防音工事業者側とで決めることにより、無駄な費用の発生や手間を抑えることができます。

こちらの記事では一戸建てに防音スタジオを造る際のポイントや施工例を紹介しています。ぜひご覧ください。

防音室の広さについて

グランドピアノの屋根と音響調整パネル

次に防音室としてのお部屋の広さを見てみましょう。
前述のボックスインボックス構法で、一室丸ごと防音リフォーム工事をする場合、現状より小さい仕上がりとなります。
例えば元が6帖のお部屋を、ボックスインボックス構法でグランドピアノが弾ける防音室に防音工事をした場合、仕上り内寸で約4帖。元が8帖のお部屋を生ドラム防音室に施工した場合は、仕上がり内寸で約4帖程度になります。
仕上りの広さを考慮した上で、防音室を造る目的に合ったお部屋にしなくてはなりません。

ピアノの場合は仕上りで最低2~3帖程度、生ドラム・電子ドラムを部屋に設置する場合はどちらも仕上りで最低3.5帖程度、バンド練習として使用したい場合は仕上りで最低5帖程度ないと、音響の面を見ても使いづらいお部屋になってしまいます。もちろん部屋に入る人数や楽器を考慮してのプランニングが重要です。
ただし必要畳数はあくまで目安ですので、バンドセッティング、メーカーやサイズ、使用環境、さらには個人の感覚によっても異なります。

防音室が居心地のいい空間になるよう、広さや高さ、空調・照明の快適さを考慮した設計施工が求められます。

まとめ

一人ひとり住環境が違う中で、安心して音のある暮らしを楽しむためには、遮音性能がしっかりとある防音室を施工することが重要ですね。
D.S.Pでは防音対策はもちろん、お客様のご要望に応じた魅力ある空間設計をご提案いたします。
希望するお部屋を防音室にできるのかわからない方、何から計画をスタートすればいいのかわかない方、まずはお気軽にご連絡くださいね。

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