自宅で楽器演奏をしたい、外部から聞こえてくる音を遮断したい、生活空間と分かれているテレワーク部屋が欲しい・・・
様々な理由から自宅に「防音工事」を検討する人がいらっしゃるかと思います。
「防音工事」と一口に言っても、窓を二重サッシにする程度のものから、お部屋全体をリフォームするものまで様々。
今回は「ボックスインボックス構法」で、住宅が密集する都市部によくある6 帖のお部屋に「防音室」を造る「防音工事」について、詳しく見ていきたいと思います!
一室丸ごと防音リフォーム工事|ボックスインボックス構法って?
「ボックスインボックス構法」とはどんな工事になるのでしょうか?
遮音性能がしっかりあるお部屋では、壁・天井・床に対して遮音・防振構造(浮遮音層)が基本的に必要となります。音は足から床を伝わり、また、壁や天井・床に入射した音が建物本体に伝わり隣室に放射するためです。
ガラスとガラスの間に隙間がある二重サッシでイメージするとわかりやすいのですが、同じように防音室の壁と壁の間に空間を設けます。
浮いている空間(浮遮音層)を造ることにより、楽器から鳴る音はもちろん、振動も減衰させる防振構造となるのです。
防音室内側の遮音部分と既存の遮音部分により、総合的な遮音性能を出す構造とします。
要するに、お部屋(箱)の中にもう一つお部屋(箱)を浮き構造で造る構法です。
これをボックスインボックス構法といいます。
元が6 帖のお部屋に防音工事|仕上りの広さはどのくらい?
防音室はお部屋の中にもう一つお部屋を造るため、その構造上元のお部屋より一回り以上狭くなることが多く、仕上りの広さや天井高を考慮した上で、使用用途・目的に合ったお部屋にプランニングしなくてはなりません。
住宅が密集している都市部に多い6 帖のお部屋を、ボックスインボックス構法でグランドピアノが弾ける防音室に防音工事をした場合、仕上り内寸は約4 帖になります。
生ドラムが叩ける防音室の場合は、約2.5 帖ほど。
グランドピアノ防音室に比べて、さらにもう一層浮いたお部屋を施工するため、より狭くなります。演奏スペースや必要な広さは人によって様々ですが、音場(響き)に問題が起こる可能性もあります。
仕上りの広さとして必要な広さは、ピアノの場合は最低2~3 帖程度、個人での生ドラム演奏の場合は最低3.5 帖程度、電子ドラム演奏の場合も最低3.5 帖程度、バンド練習として使用したい場合は最低5.0 帖程度。
もちろん部屋に入る人数や楽器を考慮してのプランニングが重要です。
ただし必要畳数はあくまで目安ですので、セッティング、メーカーやサイズ、使用環境、室内に置く家具、さらには個人の感覚によっても異なります。
防音工事で6 帖を施工する費用の目安
6 帖のお部屋を防音室として一室丸ごと防音工事したい!けれど、気になるのは費用。
目的や用途、使用環境によって必要な遮音性能や防ぐべき音は異なり、既存の建物構造からお部屋の広さ、解体工事の有無、新築の場合は建物本体工事と同時施工が可能なのかにより、費用は大幅に変わります。
下記表は目安として参考までにご覧ください。
防音工事でかかる期間や施工の流れ
では実際にお部屋を一室丸ごと防音工事した場合、どのくらいの期間がかかるのでしょうか。
集合住宅か戸建て住宅か、建物の構造、新築なのか等によっても変動はありますが、ピアノや弦楽器・管楽器防音室の場合は大体18~22 日間程度、ドラム室の場合は大体24~30 日間程度の日数がかかります。
1.解体工事(※状況により不要の場合もあります)
2.電気設備工事
3.防災設備工事(※スプリンクラーは、マンション等で設置基準に基づいて施工します)
4.防音工事
5.建具取付
6.内装仕上げ工事
7.電気設備工事
8.防災設備工事(※スプリンクラーは、マンション等で設置基準に基づいて施工します)
防音室内では、火災報知機やインターフォンの音が聞こえづらくなります。マンション等の集合住宅の場合は、火災報知器やブザーの設置が消防法により定められているため、防音室内に増設する必要があります。
戸建て住宅の場合では、インターフォン子機の増設等が便利です。
またインターフォンと連動するフラッシュブザーの増設も、お好みに応じて設置可能です。
9.室内クリーニング
※なお、工事工程に関しては、既存の構造や状態、用途、施工タイプなどによって異なります。
防音工事|性能保証はあるの?
D.S.P では、JIS 規格に基づいた測定で、ご契約の遮音性能値を保証させていただいております。
防音工事完了後にどのくらいの遮音性能がとれているのか、測定検査を実施します。
初めに社内検査を行った後、お客様立会いのもと、遮音性能測定検査を行います。
測定は、隣接する2 室間の片方で音を発生させ(音源室)、もう片方(受音室)に伝わる音のレベル差や音源室のドアやサッシを閉めた状態で伝わる音のレベルを測るといった方法です。
音源室での音の発生は、専用のスピーカーを使用しピンクノイズを発生させます。
次に反響音・残響音を測定し、室内の音の響きを確認します。
その後、遮音性能・残響音の測定データの解析を行い、結果をまとめ、どのくらいの遮音性能がとれていて、室内の音の響きはどのくらいなのかを判定します。
まとめ
ボックスインボックス構法で防音工事をする際のポイントや流れがわかりましたね!
しっかりとした遮音性能がとれる防音工事は、内装工事のような装飾的な部分ではなく、目に見えないところにコストがかかります。
また、防音室の施工は各業者独自であり、材料から工程、管理方法、そして防音性能の表記まで異なるものです。決して安価なものではなく、失敗が許されない「防音室」。だからこそ私達がなにより大切だと考えるのは、「お客様と目線を合わせた防音室をご提案すること」です。
お客様一人ひとり、使用楽器・演奏スタイルも異なる中で、住居環境や本体建物の構造、生活スタイルだってそれぞれ違うはず。各々のお客様のご要望に適った、オンリーワンの防音室をご提案させていただきます。